彼女のことは入社時から悪い意味で社内で有名だった。
 ビジネスマナーがなってなかったり、仕事に関係ないサイトを開いて遊んでいたり、注意したら泣き出す、男性社員やインターンにきた男子学生に過度なスキンシップするなど、勤務態度改善が見られないからと、度々人事部長がうちに相談に来ていた。
 丸山はこの調子だとうちにきてもおかしくないと言っていた。
 彼女の話は話半分で聞いていたが、いざうちにやってきたら、思った以上に面倒くさいやつだった。

 人事の人達の話は本当だった。

「ねぇ、そんなしゃべり方で無条件で優しくしてもらったり、ちやほやされると思ってる? もうそんな年じゃないでしょ? どーみてもまともじゃないわ。頭とか精神の病気じゃない? 犯罪者だし、いじめや炎上の前科あるんだし。不幸を願ってる人いっぱいいるんじゃない? 私もそうだけど」

 丸岡が「言い過ぎだからやめてください。ここにはそういう人もいて頑張ってるんですから。あなたが異動したのはそういうとこでしょ」と強い口調で窘める。

 服部は、浅沼工場に入社したときから優秀で、30代前半で企画部の主任に抜擢された。
 しかし同僚だろうが先輩だろうが、誰に対しても辛辣過ぎて、鬱や退職に何人も追い込んだ。