「たいして可愛くないって。実際そうでしょう。喋り方ウザイんですよねー。いい歳して自分のこと名前呼びする人がまともな訳ないじゃないですか。あたおか過ぎて笑いを通り越してます」

 同僚と結花のやりとりに、他の同僚や先輩達も「マジそれな」とか「いいぞ、もっと言ってやれ」と煽り始める。

 なんなの! あたおかって。頭おかしいのは向こうよ!
 ゆいちゃんは悪くない! 好きでやってるわけじゃないし!
 
「み、みんな、ゆいちゃんいじめないで……」
 結花はハンカチを取り出して、泣きマネを始める。
 ひどいよと繰り返すが、同僚達は「また始まった」と言わんばかりにため息をついたり、他人のフリに徹したりと、冷たい。

 結花はここに来てから、同僚や先輩達に必要最低限しか会話の相手されない。
 話しかけても塩対応で、まるで結花と関わりたくないと言わんばかりの態度を取る。
 結花の過去のことは入社前に広まっていた。
 なにせ少し前にテレビに出て炎上したから、よくも悪くも印象に残った人も少なくない。