元々会社のPCには、厳しくフィルタリング機能をつけていたが、スタッフから使いにくいと声が挙がっていた。
 そこで、フィルタリングかけているが、業務で必要なサイトで使いたい場合、情報システム部へ相談及び申請する方式にした。

 上司も結花の非常識さに手をこまねいていて、結局2ヶ月ほどで、人事からチャレンジ枠に異動になった。
 
「あー、まじだるっ」
 結花は顔を机の上にのせて、寝るような体勢で、封筒を折る。
「ほんとやってらんない。早く帰りたい」
 のんびりお茶すすりながら、事務仕事する前の部署の方が良かった。
 甘やかしてくれる人いるし。
 ぶつぶつ文句言う結花に丸岡が「文句言える立場じゃないでしょ」と切り捨てた。
「呉松さんさ、ちょっと黙ろうか」
 近くで作業していた男性の同僚がボソッと呟く。
「はぁ? あんたにはかんけーないっしょ? 世界一可愛いゆいちゃんに指図するなんて、どういうつもり?」
 牙を剥きだして、先輩である同僚にヒステリックに責める結花。
 男性は結花を一瞥して「たいして可愛くないですよね」と作業を続ける。

「今なんて言った?」