「ねえ、かつていじめてた人から、あれこれ言われるってどんな感じ? 呉松さんのプライドずたずただよねぇ? 今まであれこれ言う方だったもんねぇ。わがまま聞いてもらってたもんねぇ。周りからチヤホヤされてたもんねぇ」
 ねっとりした口調で耳元に囁いた。
 結花は下に俯いて口を閉ざす。

 何なの! この人うざっ!
 労役場でもあーだこーだ言われて、サボったら怒られたし、息つく暇もなかった。
 それ以上に、今の方が嫌だ。
 周りはチヤホヤしてくれないし、冷たいし、口うるさいか厳しい人ばっかだ。
その上、かつてバカにしてた同級生から、命令されるなんて屈辱しかない。

「君の名前みた瞬間、僕はラッキーだとおもったよ!」
 浅沼の声が弾む。それは結花の体全身に寒気が走った。

 履歴書の応募に彼女の名前があった。
 この年で数ヶ月パートをやってすぐクビになっただけ。
 昔からSNSで働いてない自慢してた。
 中学時代にみんなの前で将来の夢は専業主婦で働かない宣言をしてただけあったが、わがまま過ぎて夫と娘に逃げられた話を風の噂で聞いた。
 彼女の娘は私の娘と中学の同級生。
 娘に彼女にいじめられてた話をしたら、私の娘が彼女の娘に嫌がらせしていた。
 私の仇討ちしてくれてるような気がした。