田先家での使い込みは全部で210万。プラス慰謝料として300万。
 母の周子が代わりに支払うとなっていたが、結局急死したのでなくなった。
 それどころか、周子は結花の今までの悪行のツケを残していた。それが500万。
 全部で1010万のお金を請求されている。
 少しでも減らせるためにと、呉松家の本家を200万で売った。 
 それでも結花は罰金以外に計810万の借金が残っている。
 本気で働かないといけない状況になった。
 月の給料は15万ほど。そのほとんどが返済なので、自由に使えるお金はわずか。
 今のペースで返すとしたら数十年かかるだろう。

 この浅沼工場は事務や管理職が集まるが、チャレンジ枠と呼ばれる部署がある。
 普通のパートの人もいるが、中にはパワハラ、セクハラした人、不祥事起こした人、病気がちな人、障害のある人、前科がある人など訳ありな人が飼い殺しの形として存在している。
 いわゆる左遷先の部署だ。
 陰で"蠱毒部(こどくぶ)”と呼ばれている。
 やらかした人同士で潰し合って自滅させればいいということから。

 主な仕事は掃除や草刈り書類整理など簡単な仕事ばかり。ここに入ると一生出世できない。
 そして彼らだけ会社内にある寮で集団生活をする。
 何かやらかさないか監視するためだ。