赤澤も結花のマウントに負けることなく、幸せであることや、相変わらずで安心したと少し嫌味を言った。
 子どもがいない赤澤に対し、結花と周子から「高齢出産は大変よ」と、心をえぐるようなことを言った。彼女は顔色変えて足早に依田家を去った。
 結局本題に入れたのはわずかな時間だった。
 家庭訪問の次の日に、陽鞠は赤澤から、結花と周子のことを「あの母娘は相変わらずね」と、呆れ混じりの悔しさのようなため息で言われた。
 話の一部始終を聞いた陽鞠は代わりに頭を何度も下げた。
 それと同時に無神経な祖母と母に心底軽蔑した。
 一学期の保護者面談は父の悠真にお願いして出席してもらった。
 悠真が同席すると「お父さん大変でしょうね。あの人のわがままに振り回されて。おそらく家族皆さんが振り回されてるでしょうけど」と言ってのけた。
 悠真はそんな嫌味も怯むことなく、娘の授業の様子を聞いたり、今後高校受験に向けてどう勉強したらいいかなど話した。
 悠真と陽鞠は何で結花のことを知っているのだろうかと不思議に思っていた。なんとなく聞きにくかった。二人の間でおそらく何かあったのだろうと落ち着いた。
 かと言って結花本人に言及するつもりはなかった。
 また面倒くさいことになるからと。