「職員さん達も、いちいちお母さんの言葉に目くじら立てるとかねぇー。事実なんでしょ? お母さんの機嫌損ねるようなこと言うからでしょ? 言われたくないなら、お母さんの言うこと全部聞いてよ。なんのためにお金払ってるの? こっちはお客様よ?! だから大磐さんもゆいちゃんと結婚して!」

 ヘラヘラした顔で結花は大磐を煽る。

 大磐も良輔も、2人の言い分に開いた口が塞がらなかった。

 ああ、やっぱりこの2人は”母娘"なんだ。
 人が嫌がってることを平気でして、注意されても、あっけらかんと『次はバレないように』『言われる方が悪い』と言っちゃってる。
 まるでいじめっ子の考えだ。いや、元からそうなんだ。
 アレルギー入りのお菓子を食べさせるのも、杖を奪い取って、利用者をからかうのも、あの母ならやりかねない。
 人の弱みついてからかうことに楽しむ人間だから。
 
 ここの利用者達は比較的裕福な家が多い。
 かつて会社の役員とか大企業で働いてたとか、社長とか、議員やってたとか、それなりに地位のあった人達は少なくない。
 
 もし利用者が母の悪行で亡くなった時、家族が訴える人がでてもおかしくない。
 母は悪くないと開き直るだろうが、正直ガンガン訴えていいと思っている。