それに本当は、4年前に結婚している。同い年の日本人の夫。大学時代のボランティアサークルの同期で、専攻は違えど、アニメの話で意気投合した。
 彼女の夫は、西南中央駅から30分とこにある港町側の会社でせっせと働いている。地元でも有名なところだ。
 名前をいうと「あー、あそこね」とピンと来る企業だ。

「だって、本当に周さん気が利かないの。頭の病気かしら? ほら、勉強できるけど、コミュニケーションでおつむ弱い人いるでしょ? そういう系かしら? こんな穢らわしい人に私に触れられたくないわー。もう国に帰られたらどうかしら?」

 周の悪口を立て板に水のように語る周子と、そうよと同調する結花と、2人にやめろと良輔が強い口調で窘めた。
 職員の悪口を言われた大磐はやめてくださいと続けたが、周子は更に続ける。

「ちょーっとからかったら、(ほう)くんはあっさり言うこと聞いてくれたわ。最近休みがちだからね、どーしたのかなーと思って聞いたら、飲みすぎちゃったって。香水の匂いしたわ。あれ、浮気じゃない? 奥さん妊娠されてるんでしょ? 私がおじちゃん達呼んで一緒にいるの黙ってもらう代わりね。秘密の共有って感じよ。こういう背徳感わくわくするの!」