ナースコールで呼んで、職員さんに私が転んでることを教えてくれました。
 大きな声で呼んだので、ホールに響いたのでしょう。
 他の利用者さんも様子見しにきたそうです。

 私の顔色が少し悪かったそうで、看護婦さんが病院に連れてって、家族に連絡してくれました。

 呉松さんは職員さん達やリハビリの先生に褒められて得意げだったとか。

 私としては、自分の足をいきなり取られたようなものです。
 しかもベッドの上まで持って行って。
  
 使い慣れない杖で歩くのはとても怖いです。
 以前は呉松さんと同じタイプの杖を使ってたんですが、ちょっと合わないみたいで、2回ほど転んだんです。
 リハビリの先生と相談して、今のタイプに変えてから、安定感があって歩きやすいし、転ぶ回数もめっきり減って安堵していました。
 
 あと私が以前使っていた杖の話を、呉松さんにしたことがあるんです。世間話でね。
 
 職員さん達の間では、それを分かっててやってたのかもって小耳に挟みました。

 それに呉松さんは、リハビリの先生がお気に入りなんです。
 
 背が高くって、爽やかなスポーツ刈りで、俳優さんみたいな大きな目と小さい顔だから。
 確かに私もかっこいいなぁと思いますよ。