最初はスタッフ達は冗談だと思っていたが、毎回言われるとげんなりする。
 特に一部の男性スタッフ――特に若い20代から30代の人達から「周子さん苦手です」と。
 まさか娘まして、40代の娘の婿候補扱いされるのなんて思ってもないことだろう。
 スタッフだけでない。頭のしっかりしている利用者にも「うちのゆいちゃんをおたくの息子さんと結婚させてないかしら? それで私を介護してもらうの」なんて言って、凍り付かせている。
 周子と利用者は表向きいい感じに見えるが、いつもおしゃべりに付き合っている人達は、苦手意識を持っている人間も少なくない。
 おしゃべりグループのメンバー達は

『周子さんは穏やかな口調だけど、なんか怖い』『たまに無神経なことを言われて辛い』
『下手に言い返すと何されるか分からないから、黙って聞いているだけ』
『息子と周子さんとこの娘さんと結婚させたらどうって言われたけど、正直嫌だった。とてもじゃないけど、周子さんと親族なんて嫌よ』

 周子に対して少し苦手意識がある。

 本心では、付き合い切れない所がある雰囲気だ。
 たまたま周子の最初の話相手が彼女達というだけで、そのままずるずると続いている形だ。