周子も施設のスタッフに家族の話をするときは、ほとんど結花のことばかりである。
いかに可愛いか、いい子なのか。
良輔と静華は夫に似て地味で面白くないと。
その面白くないと言われている息子が定期的に周子の身の回りのことや、手続きをしにきているのに、口に出すのは来てない結花だけ。
それか他の利用者の悪口だ。
周子は気に入らないスタッフや利用者達にマウントとりしていた。
利用者と話するときは、自分がいかに家族に愛されているか、娘である結花が可愛いか自慢して、頭しっかりしてるのよと遠回しにアピールする。
歩くのに少し介助が必要な人に、手伝うふりして、わざと段差の多いところ連れて行ったりと、陰湿な嫌がらせをしている。それで1度けがになり、そのときは施設のスタッフ達の責任として、家族に平謝りした。
周子は「急に立ち止まったから、手伝っただけ」と証言していたが。
スタッフ達にナースコールですぐに駆けつけなければ、のんびりされてるのねとか、これだとお嫁にいけなさそうねなんて嫌味がとんでくる。
男性スタッフには結婚しているのか、彼女いるのか聞いて「うちのゆいちゃんにふさわしい相手さがしてるの。どう? 呉松家の一員になれるだけでありがたいのよ」なんて言っている。