「田先俊美さんと登美子さんがそれぞれ100万、田先周平さんが300万、葵依さんと光河くんでそれぞれ、15万だから、全部で530万。プラス、転売の件で警察や運営に通報されてるから、場合によっては警察のお世話になるかもしれん」
 良輔の口から淡々と告げられる事実に、周子は目を丸くする。
「ゆいちゃんお金ないんだ。だから30万ちょーだいい!」
 必殺泣き落としで周子に訴える。
 ちらっとと上目使いしながら。
「そーねー。なんとかならないかしら? さすがにゆいちゃんを警察なんて……一体誰がそんなの言ってきたのかしら?」
 良輔はこの親子の似たものぶりに軽蔑の視線を向ける。
「ま、まさか、代わりに支払うってしないだろうな? それはやめろ。こいつのためにならない。通報はおそらく見つけた人間だろ。証拠もSNSにあがっているし、こいつのアカウントは停止になっている」
 良輔としては、田先家のお金の使い込み含めて、転売の疑惑も自分で償ってほしいと思っている。

 何でもかんでも他人に丸投げしておいしいとこ取りして生きていく。楽して利益を得たがる。
 それは今まで見た目や家の名前で通用していた部分や、面倒ごとになるのを避けたいからだ。