良輔は結花に煽るように矢継ぎ早に「その財源は? また転売するのか? 俺や紫乃や父さんのお金パクる気か?」と問い詰める。
「だ、だって、お母さんの服が……それにパクったんじゃなくて、必要だっただけ!」

 働かずにお金貰う方法はそれぐらいしかない。
 だって働いたらゆいちゃんいじめられちゃう。
 それか、病気の人演じて、生活保護せしめちゃう?

 良輔は結花の言動に大きなため息をついて、聞いて呆れた。
「そうなのよー。ゆいちゃん、お母さん、いつもパジャマなのよー。りょうくんが買ってくるとセンスがないのよねぇ」
 のんびりした口調で追撃する周子に良輔は、思わず頭を掻いた。
「何言ってるんだ。お母さんの左手がうまく利きにくなったから、このタイプを買ってる。リハビリでなんとかしてるけど」
 周子は1年前に脳梗塞で左手を麻痺して、一時期入院していた。
 リハビリや治療のおかげでなんとか回復したが、家での生活は厳しいということから、このサルースにやってきた。
 でも理由はそれだけではなかった。
 周子が体が不自由になったことから、明博や良輔をこき使うようになった。
 長年いたお手伝いさん達も、数年前の結花の離婚の件で良輔と明博が辞めさせたからいない。