自慢の長い髪はショートカットに。
 いつもおしゃれで着ていた黒や紺の光沢のあるワンピースではなく、薄い紫色の藤の花模様のパジャマ。
 化粧っ気もなくなって、10歳ぐらい老け込んだように見えた。
「お、おかあ、さん?!」
 
 ゆいちゃんの知っているお母さんじゃない!
 これ別人よ! 呉松周子の皮を被った!
 お母さんは、髪はもちろん手や足にもネイルしていて、頭から足までおしゃれだったのに。
 今、目の前にいるのは、そこら辺にいるおばちゃんと一緒。
 化粧っ気もなくなって、老け込んでいるし、髪もボサボサ。
 あんた誰って言いたくなる。

「結花連れてきた。あんまりうるさいから、1回”現実”を見てもらおうと」
 これ、衣類なと良輔は紙袋を見せる。
 中には下着や冬用のパジャマや靴下、差し入れのお菓子が入っている。
「えーもう少しおしゃれなのないの?」
 周子は袋の中をみるなり、開口一番お礼ではなく、パジャマへの文句だった。
 冬用のパジャマは、シンプルに薄いピンク色で脱ぎ着しやすいボタンのタイプだ。
「そうよ! りょうにい、これダサいじゃん! お母さんがおしゃれ好きなの忘れてない?」
「自分の立場忘れてないか? お前が口だし出来るレベルじゃないって。そんな言うならお前がお金だせ」