あの人が再婚していたことは、風の噂で聞いていた。
 先に再婚相手の家にインタビューに行ったようで、そこでも、同じようなことが返ってきたとスタッフ達が言っていた。
 良くも悪くも変わってないのかと、安心したような、したくないような感情に駆られた。
 あの人は今でも私と父のことが忘れられず、会いたいと言っているらしい。
 スタッフから言われたとき思わず吹いてしまった。

 家族裏切るわ、人いじめてるわ、勝手に人のお金使ったり、趣味の物を売ってるような人を信用しろとか無理です。
 いい年して、自分のこと名前で呼ぶわ、世界一可愛いから何でもいうこと聞いてくれると思ってるんですかね?
 もう無理でしょ。見た目だけでちやほやしてくれる年でもないですし。
 中身もなーんにもないただの落ちぶれたオバさんですよ。
 私の一番の恥は、呉松結花の娘であること、その血が半分入っていること。
 昔、あの人の過去を知る人間達に、散々、お母さんに似てるがどうのこうのって言われてきました。
 あんな見栄と虚飾の権化の血が入ってるだけで嫌になります。
 後ろ指さされないように、私は私でやってきてるんです。
 これ以上、私の人生の邪魔をしないで欲しい。
 もし次に会うとしたら、老後か葬式でしょうかね。