寮生活をはじめて半年以上経つが、同室の子も、学科の子も、みんな出身地はバラバラ。
 地元だと過去のことを知ってる人間が多いからと考え、担任に推薦の候補に挙げられたのが、今いる大学だ。

 高校3年間ずっと同じ担任で、父の部活の後輩だった。
 担任は入学して最初の個人面談で「依田先輩の娘がくるとは……びっくりしました。あはは」と呑気に笑っていた。
 入学式に父が同席していたことを話すと、正直 別人過ぎて分からなかったと。
 高校時代の父は今と違って、痩せ型で背が高く、天パで薄い青眼鏡かけていたと。

 クイズは歴史・数学・スポーツ系が強かったと言っていた。
 残念ながら娘である私は、全部苦手なジャンルだ。
 当時の父の見た目は、白髪が少しずつ目立ち始めていた。
 私は父が眼鏡かけてたことを、担任の話で初めて知った。いつもコンタクトをしているから。
 白髪が生えたのはあの人のことで、ストレスになっていたんだと思う。
 長年あの人の横暴さや傍若無人ぶりに振り回され、精神的にダメージがきていた。
 私は父が元気ない姿や、じんましんでかゆそうにしている姿を見てきた。
 父が家に戻る時間が遅いのも、中学生になって気持ちが分かった。
 
 担任は私の両親の結婚式に出てた。