フィクションに出てくる同性に嫌われる要素を、ふんだんに盛り込んだ人がリアルに身内でいるということだ。
 再婚相手が意地悪というか、多分無神経で怒られているだけだと思う。彼女が家のことをしないのも、良くも悪くもお似合いだと思う。ただ、家族が耐えれなかったというだけだ。

「それは当然だよ。ちゃんと働いて、返さなきゃ」
「嫌だ! ゆいちゃんは世界一可愛いから働くなんてあり得ない! だっていじめられるじゃん! 格下の癖にこんなおしゃれな家に住んでるなんて生意気よ! ゆいちゃんに譲りなさいよ!」
 結花は門をガンガン開けるように訴える。
「何言ってるの! ふざけないでよ! どこまで人の物、奪う気なの?! ほんと中学校から変わってないね! だからそういう唯我独尊自己中な所にうんざりして、離れてるんでしょ!」

 今の家は夫婦の努力の結晶だ。
 昔から外国のような外観のお家に憧れていた。
 夫も海外建築が好きということで、家族のこだわりが詰まっている家だ。
 昔から彼女から色々な物を取られてきた。
 お菓子は序の口、筆記用具、貴重品など。
 取られても、あの母親が出てきて折れるように迫られる。彼女が『被害者』としてあの母親に言うからだ。
 二言目には「呉松家当主に逆らうつもりか」と。