ホワイトとベージュをもとにして、やや小さめの窓がちらほら見える。まるでフランスあたりに出てくるような家。

 うわぁ、こいつゆいちゃんより格下なのに、見た目だけシャレオツなお家に住んじゃって。調子乗ってるんじゃない? あとで懲らしめてやろう。
 
 結花は望海の家の外観を見て意地悪することを心に決めた。
 インターホンを鳴らしても誰もいない。ガレージを見るとシルバーの外車が1台停まっている。家族はいるだろう。
 数回押してやっと望海が出てきた。
 上品な紺色のワンピースでスリッパ姿だ。
「ゆ、ゆいちゃん?! どうした?!」
 望海はいきなりの訪問に目を丸くする。
 それもそうだ。離婚してから数年会っていないのだから。
「ねぇ、夫に追い出されたの! お願い! のんちゃんの家にいさせて!」
 すすり泣くような声を出しながら懇願する結花。
「一体何があったの?」
 結花は田先家での生活を話す。だんだん望海の目が険しくなっていく。それも当然だった。
 
 良輔兄さんが言ってたのは本当だったんだ。
 1時間前に連絡来た。
 頻繁に連絡する関係ではないが、彼女の動向をたまに送ってくれる。
 私の家族に影響出ないようにということで"注意喚起"の意味で送ってくる。