お金の支払いは自分がするとは言ったものの、何でここまで自分が払わないといけないんだろう。
 こんなことをされるために結婚したわけじゃないのに。

「私は働かない! その代わり家のこと頑張るから!」
 結花は悠真の顔に近づけて、上目遣いで訴る。「あー、わ、わかったから……」と白旗をあげた。
 悠真は結花の上目遣いに勝てない。
「さぁ、もう早くねよ。つかれたー」 
「そうだね」
 2人は手を繋いで寝室に向かった。
 やった! やっぱりゆいちゃんの上目遣いには勝てないのよ。あれをやればイチコロよ。
 多分これでひとまず離婚は免れたわ。
 心の中で舌をだして優越感に浸る結花だった。

 その日のSNSに結花は
『夫から働くか家のことするかそうじゃないと離婚するって言われたけど、泣き落とししたら勝ったw』
『私絶対働かないもん!』
 悲劇のヒロインになって同情を買ってもらっていた。
 家族に義理の母が風に煽られて転倒したこと、人がいなくなるので、代わりに出てほしいと言われたことをメッセージアプリに送った。