子どもを諭すような口調で1つ1つ浮気をしていないことを弁明する悠真。
 実際浮気もなにも、そんな暇ない。
 遅番だったら少しゆったりと出勤できるが、そんなに多いわけでもない。
 不規則勤務だから、仕事終わってから家に帰って休みたい。
 月1回だけクイズサークルに顔だすのも、結花のことを考えてだ。
 でも家にいるより、働いていたほうがまだ気持ちが紛れる。
 家に帰って休まるどころか、結花の親が待ち構えているんだから。
「分かったわ。浮気はしてないってことね。じゃぁ、私を心配させたから、お小遣い減らすわ」
 結花の発言に悠真は肩を落とす。
 この人何1つ分かっていない。
 一方的な要求ばかりして、相手に与えるということをしない。
「これ以上俺を苦しめるつもりかい? お小遣い減らすって何様だよ? 俺は結花の要求に応えてきた。お義母さんがうちに来てもだまってた。でもな、もう勘弁してよ……せめて1回は俺の話聞いてくれ……」
 悠真の声が弱々しくなる。

 一体この人は俺が働いている間何をしているのだろう。
 すくなくとも家のことは何もしていない。
 家事は全てお手伝いさんに丸投げ。
 毎月来るクレジットカードの請求書を見るたびに青ざめる。10万以上来る。
 ブランド物やランチやエステでお金がかかっている。