だって私悪くないもん。もっと働かないあいつが悪い。
 給料安いんだからもっとゆいちゃんに尽くせ!
 上の義理娘も高校生なんだから働けよ。世界一可愛いゆいちゃんのために。
それと同時に、嫌な汗が全身に駆け巡った。
「お父さん いや、絶対こいつだ!」
「そうだよ! 私の数少ないお小遣いが減ってるだって! しかも平日の昼間!」
「なんでゆいちゃんを信じてくれないの?」
 双方の言い分を聞いた周平は忌々しげに舌打ちした。
「……他の銀行のアプリか通帳見せろ」
「それはあんたもでしょ! 安月給の癖に、アプリゲームばっかやって! 課金してるんでしょ! それかどうせ出会い系してんじゃない? あんた、自分の立場分かってる?」

 こっそり出会い系やってるのも知ってる。テレビで若い女性紹介してくださいって言ってのけたじゃない。
 こいつの方が怪しいに決まってる。

「お前に魅力ないからだろ! 結婚してやったんだから、ちったぁ、ありがたく思え。このこぶつきが! 話をすり替えるな!」
「あんたのしゃべり方ほんとウザい。とっとと通帳見せて失せろ。このババア」
「ババアってなによ! 私は世界一可愛いゆいちゃんなんだよ! ゆいちゃんて呼びなさいよ!」
 光河は結花への禁句を言うことでさらに怒りを買うように仕向けた。