「帰りが遅いのは、これから年末年始のセールの準備があるからだよ。季節ごとにお客を呼び込むことをしないといけないからね。うちのスーパーの営業時間知ってる?」
「……えーっと……」
「そうだよな。結花、うちの家業見下してるのよく分かった。お義母さんと一緒だ」
「あ、いや、それは……」
 結花は口ごもって目をそらす。
 日頃から母と一緒に夫の家業を馬鹿にしていたのを否定したら嘘になる。
 本当は呉松家が経営する会社で働いてほしかった。そうしたら、多少は勤務時間優遇してくれるというのに。でも、家業が大事と蹴ったから。
 結婚のために多少譲歩してやっただけでも感謝しなさいよ! 代わりにゆいちゃんに尽くしなさいよ!

「朝の7時から夜の10時までだ。みんな交代で働いているんだ。結花がいつもいくような所と違って、うちは夜遅くまで塾通ってる子や会社が終わるのが遅い人、たくさんいるんだ。そういうのを考えての上だ」
「スーパーの開店時間に合わせてスタッフも早くこないといけない。早い勤務の人は6時半に既に来ているんだ。俺は現場にでなくていいとはいえ、いつも人がいないからスタッフと一緒に働いている」
「そんなの開店時間遅くすればいいじゃん」
「それも一つの方法かな。考えてみる」