シャレオツな料理を作った人間がお手伝いさんなんてつゆ知らず、すごーいとか美味しそうとかコメントが来ると、騙されてやんのと舌を出して笑っていた。
 自分が世間より裕福な生活を送っていることを実感していた。
 働いたらみーんな全然できなくなる。
 
 ――今の生活を崩したくない!

「私が働くなんて誓約違反よ! 専業主婦にさせるのが結婚の条件でしょ!」
「じゃぁ離婚か? 正直俺は結花の日頃の生活態度にうんざりしているからね」
「り、離婚?!」
 そんなことしたら生活できないじゃない!
 呉松家のお嬢様のワタシが離婚したなんて広まったら……世間に顔向けできないし、周りに自慢できないじゃない!

「嫌だ。どっちも嫌。あんたが中々帰ってこないから、浮気してるんじゃないかと思ってた。私を心配させた罰としてお小遣い1000円引くから!」
 悠真は結花の話を聞いて開いた口が塞がらない。
 どこまでこの人はわがままなんだろうか。
「それはないだろ! 心配させたってなに?」
「あんたが帰り遅いから、浮気してるんじゃないかって心配になったから……」
 結花は語尾をうやむやにして、上目遣いアピールでごまかす。

 やばい、このままだと母に頼んで探偵つけたことがばれてしまう。