20時に悠真が仕事から帰ってきた後、リビングに呼ばれた。
「これはどういうことかな?」
満面の笑みで写真を見せられた結花は青ざめる。
背は高く、白髪交じりのオールバック眼鏡かけている男性。
ネイビーのスーツと白のブラウスシャツ。
理知的な雰囲気だが、二重まぶたから優しさがにじみ出る。
――1時間前まで会っていた人だ。
何で? どこの誰が? 隠し撮りじゃない!!
せっかくの息抜きが!! どうしよう、パパからもらったブランド物の服や鞄にお金はばれてないよね?
もらった5万は銀行に入れてあるし、夫もさすがに暗証番号まで分からないよね? ね、大丈夫よね?
だいたい私がもらったお金だから、好きに使っていいよね?
「あ、いや、その……それは……」
結花の目線は下に注がれ口ごもる。
どうしよう。もしかしてバレた? ほんと誰なの?!
なんて言おうか考えるが、全然出てこなくって、苛立つ。汗が出てきた。
「ひ、ひと違いでしょ! ほ、ほら、この世には、自分に似た人間が3人いるっていうし? あんたこそ、やり直したいって言ってるのに、私に離れに住ませて、家に入れてくれないじゃない! 世界一可愛いゆいちゃんを一番優先して!」