「さっき送られてきたやつか。あのな、決して許してもらおうとか、元に戻ろうとか思うな。お前はやったことの重大さがまだ分かってないみたいだな」
 はぁと夫は大げさにため息つく。
「な、なによ? 娘の味方になるつもり?!」
「当たり前だろ。何言ってるんだ? 加害者の分際で」
 夫の淡々とした口調が怖い。膝が崩れて声が出ない。
 味方してくれると思ったのに。
「だって、み、みんなでやり直そうって……ひどいよ? なんでみんな私に意地悪するの⁈」
「確かにやり直すとは言ったが、お前の味方になるとは言ってない。悲劇のヒロイン面メンタル変わってないな」
 鼻で笑って一蹴する夫も敵に見える。
 ここに私の味方は誰もいない。
 歯を食いしばって上目づかいする。
「なんだ、その目は? 反抗的だな。意地悪じゃなくて《《因果応報》》なんだよ。何度言えば分かる? 今までのつけが返ってきてるんだよ。これからも続く」
 わざとらしくはーぁと呆れた仕草をする。
「ほんと、最低!! 私がいつまでもおとなしくはいはいいうこと聞くと思ってるの? 大人しく給料だけ運んでりゃいいんだよ! この底辺!」
 息が荒くなり、顔が赤くなる。いつもの癖で夫を罵倒する。でもぜんぜん怯まない。