周りがあの人に対して、機嫌を伺うような、よそよそしい態度。
 同性にいじめられてたから苦手なの、男性の方が関わりやすいではなく、自分で首を絞めてきただけだった。いつも被害者でいたいだけ。
 あの人に憎しみを持ってる人達が身近にいる。
 私もその一人である。
 憎まないあの人に甘い父も同類に見えてくる。
 もうこんなことだったら、あの人が自滅するまで追いつめる。それが《《私のあの人への復讐》》だ。

「――お父さん、この人と一緒にいていいよ。でも条件がある。――4月から学校行かない。中学生卒業までおじちゃんおばあちゃんとお父さんとあの人と住む。高校は絶対寮付き、この人と離れるためなら国外でも行く」
 陽鞠の苛烈な目は揺るぎなかった。
「えっ、同居⁈」
 結花は同居の単語に嫌なイメージを浮かべる。
 嫌だ、あんな田舎もんみたいな家にいたくない。
 家もしょぼいし。
「そうしよう。それが家族とやり直す条件だ。もうこれ以上お前の好き勝手にさせない。継続して働いてもらう。日下部さんを騙した償いはまだ続いている」
「そ、そんな……!! ど、同居は……」
「なら、離婚だ。親権は俺だ。陽鞠はお前と二人で住みたくないと言ってるからな」