母は随分反対していたけど、3人の押しに負けてしまった。他の親族も私より兄の方がいいと。
 兄と父はかなり前から根回ししていたみたい。
 正式に跡継ぎになった兄は、妻を連れて実家に両親と住んでいる。

 ――二度と呉松家の敷居をまたぐな。家族にもそう言ってある。両親だろうとお手伝いさん達だろうが、無断で入れたやつは出て行ってもらう。
  
 すぐに実家に行ったら、鍵が開かなかった。
 合鍵を替えられていた。
 インターホン鳴らして、出てきたのは母と兄嫁だった。天敵が出てきた。
 夫と娘が出て行って、お金がないから助けてほしいと頼んだ。
『ごめんね。りょうちゃんがダメって言ってるから。中へ入れることが出来ないの』
 申し訳なさそうに母は頭をさげた。
『お茶用意してないので、お庭見ていきませんか?』
 兄嫁に連れられて外に出てついて行ったら追い出された。
 なんで追い出すのと寒空の下で懇願した。
 兄嫁は冷めた目で私を見てこういった。
『今までのことが返ってきてるんですよ』
『夫から全部聞きましたよー。因果応報じっくり味わってくださいな。――これ以上あんたの思い通りにさせないから。二度とうちに関わらないでくださる? 私あんたみたいなお行儀悪い人大っ嫌いなの』