3人は休憩スペースに移動して、結花と赤澤が並んで野崎と向き合うように座った。
「2人が呼ぶってことは何かあったんだね」
「品出しの最中に……」
野崎に話を促され、結花は赤澤とのやりとりを説明した。
野崎の顔がみるみる険しくなる。
「えっと、つまり……依田さんの娘の担任が、たまたま依田さんを見かけて、声かけた。で、尾澤さんにいかに依田さんがだめ人間か話して、クビにするように迫ったってことかな?」
「そんな感じです。あんまりにも酷いので、これ以上やるなら、営業妨害として警察呼ぶことを警告しました」
「その方がいいね。てか学校の先生がそんなことしていいのか……依田さんも、ここでの仕事の愚痴書いてるでしょ?」
結花の顔がなんで知ってるのと愕然とする。
「人事部長がチェックしてるからね。依田さんのSNS」
仕事が辛いだ、なんで働かないといけないんだと、ぽつぽつ書いていた。息抜きなのに。
「あのね、依田さんは《《厳しい立場》》なんだ。社長がここで働かせてくれる意味分かってるかい? 変な所で働かれるよりはマシだからだ。《《最後の情け》》。愚痴なんて言ってられる立場じゃない。依田さんのSNS見て、保護者とか同級生とか見て広まったんだろう」