通勤用の服はともかく、スタッフ達にですます調で話せるようになったのは大きな進歩だ。
 尾澤は出来てたらどこができている、あれこれしたらもっとよくなると指摘するタイプだ。
 言葉遣いもどうやって覚えたらいいか分からない、何が常識なのか自信がない、悪いところを改善するにも、どうしたらいいか分からなかったと結花は言っていた。
 尾澤はここまでやらないといけないのかと思いつつも、根気よく結花の苦手な所に向き合った。
 最初から人に丸投げせず、分からないことは誰かに聞く、または、自分のスマホで調べる癖をつける。
 スタッフ達とも多少他人行儀ぐらいが丁度いい。特に若い子はプライベートに踏み入れられるのを嫌がる子が多いから、なおさら。一歩間違えればハラスメントになる時代であることを意識する。
 挨拶は目が合えば会釈か声出すこと。地位や好き嫌いで態度変えると同性から反発来るのは当然である。
 これだけで幼さがだいぶ消える。
「いらっしゃいませー、小松菜超お得ですよー! 卵とニラで炒めるのおすすめです!」
 結花の挨拶が買い物客に注目させる。
 元々顔がいい結花はそこを利用して買い物客に手に取ってもらう作戦にした。
「ゆいちゃん今のいい! その調子ね!」