「思った以上に自分の世界だけで生きてきたんだな、って思ったよ。なまじ《《見た目だけは》》いいから、周りからチヤホヤされて、ご機嫌伺いされて、さぞ楽だったでしょうねぇ。みーんな傅《かしず》くように、依田さんに頭下げてたんだから。随分大切にされてたみたいだねぇ」
 自分の世界だけ。嫌いな人やものを排除して、ひたすら自分の居心地いい世界を作ってきた。自分のメンタルを保つために。
 その方が楽だし、頭を下げてる連中を見てたら、私って大切にされているんだなと思ってた。
 もしいま言われたことが本当なら、みんな気を遣いすぎていたということ? 私が面倒くさいということから?
 結花は下に俯きながら握り拳をつくる。
 なんでここまで言われないといけないの?
 わたしが可愛くないとでも言いたいの?!
 世界一可愛いゆいちゃんよ! みんなのアイドル!
「まだ納得できてないみたいだね。うーん、これは手強いなぁー……」
 頭を掻きむしる仕草をして、尾澤は「悲劇のヒロインモードになってるなぁ」とボヤく。
 現場にいきなりだすなと言われて、今ここで来たばっかのオバさんに説教される。
 今日のメンバーは私に懐いてる子がいるのに。