そもそも住む世界が違うといつも結花は言っている。
「最近夫が帰り遅いから、お母さんにお願いして、探偵みたいなのつけてもらってるの」
「探偵?!」
 望海はおもわずオウムがえしになる。
「だって日付越えるのギリギリだし、家帰ってもちっとも相手にしてくれないの。浮気してんじゃないかって」
「そ、そうなの……ちょっと心配だね」
「どっち転んでも、私を心配させた罰として、お小遣い減らすつもりよ」
 鼻息荒く話す結花に望海は同意しつつも、内心悠真に同情している。
 結花の思い込みの激しい性格だったらやりかねない。
 望海は結花から悠真に対する扱いをしょっちゅう聞いている。
 お小遣いが月3000円と聞いて驚いた。
 高校生の妹と同じレベルのお小遣いじゃないかと。
 それで何か結花の気に障るようなことをしたら、毎回100円から1000円引くと。
 それを得意げに話している結花が怖かった。まるで独裁政権じゃないかと。
 限られたお小遣いの中で、趣味のクイズサークルや読書に使っていている。
 それでも結花は気に入らない。
 一方結花は家のことをせずに、実家の母呼んでは、しょっちゅうランチだディナーだ行っている。ブランドの服やアクセサリーや化粧品に散財している。
 それをSNSに載せている。望海もそれを見ている。