ナチュラルボーン人を見下す周子に似た結花は、望海を昔から召使いのように扱ってきている。
 少しでも結花の気に障るようなことがあれば、望海は必死に取り繕う。
 そうじゃないと自分の身、ひいては家同士の付き合いに影響がでてしまう。
「この抹茶ケーキ、まぁまぁの味ね。ありがと」
 鼻で笑うように御礼を言う結花に、望海はうんざりしていた。
 いつもいいものばっか食べてるあなたにはお口に合わないでしょうねと。
「でさ、義理のお義母さんがしばらく休むから、あのお店どうなるのかなーって」
 口角をあげてニタニタと笑う。
 いっそのこと潰れてしまえばいい。
 お店はごちゃごちゃしているし、お客も貧乏くさいし、お菓子がまずかった。ほんと値段相応という感じ。
 あんなしょぼいローカルスーパーより、自然食品やオーガニックのお店の方がいいに決まっている。
 呉松家の実家から車で20分にあるショッピングモール。食品にこだわりがあることが売りで、オーガニックや有機野菜、外国から仕入れたお菓子や食材などがある。
 結花は子どもの頃からそこにしょっちゅう周子と行っている。
 ショピングモール内には、書店や雑貨屋やファッション専門店など種類が豊富である。
 1回行ったきりで、ローカルスーパーは合わないと、それ以来見下している。