野崎はスタッフの総意と言わんばかりに訴え出る。
「彼女の事情は正直《《自業自得》》ですよね。それを助ける義理なんて、本来私達にはないんです。彼女は稼がないといけないから、どこかで誰かが《《犠牲》》にならないといけない。社長と部長が頭下げたからこそ受け入れました。その犠牲の矛先がたまたま私達だったと。肝心の彼女の勤務態度が改善されないのなら、ここにいても、スタッフの士気が下がるだけです。異動か退職をさせてくれませんか」
 語気が強くなる野崎に陽貴は黙って聞く。返す言葉がなかったから。それが事実だから。
 野崎としてはいい加減動かない陽貴にも内心腹立っていた。
 身内だからと結局甘やかしてるのは変わりない。社長である悠真も同罪だ。
 あれだけ改善してくれだなんだ言っても、陽貴本人が言ってもあの調子なら、悪影響だ。
 彼女の性格が変わることなんて、とてもじゃないが期待できない。
 もういい年だから余計だ。
 あの幼い言動や態度、仕草、仕事に向かう姿勢が全て不愉快の塊だ。
 今まで周りからちやほやされてきて、注意されなかった結果がこれだ。
「そのことなんだけどね、一つ手がある」
 目を丸くする野崎は「それはなんでしょう」と聞き返す。