2回目の勤務に入って、陽貴に無理矢理連れて行かれる形だった。
またしてもごねたが、早起きすることで美容にいいことを引き合いにして説得された。
朝礼を恙なく終わると、結花は男性スタッフばかりおはようと挨拶する。彼らは大人の対応で挨拶するだけで、それ以上は返さない。
奥から低い声がした。振り向くと、女性が見えた。
背は低くまん丸とした顔立ちでえびすさんの雰囲気。
「あの人が福島さんよ」
近くにいた太刀川が耳打ちで教えてくれる。
「依田さんには、今日私が教えます。あなたは持ち場へ」
太刀川は「ハイハイ」とまるで反抗期の娘のように返す。
「後でまたお会いしましょ」
小野田がウインクして挨拶をした。
福島は誰もいないことを確認して、結花に近づく。
「名前、申し遅れました。私、福島乃々香と申します。農産部門担当です。今日は尾澤の代わりにあなたを担当するよう店長に言われました。よろしくお願いします」
「これからあなたは農産スタッフで働いてもらいます。今から私に着いてきてください。せめてメモをとってください」
「スマホじゃだめ?」
「だめです」
短く切り捨てる言い方が嫌なのか、結花は「な、なんでよう」と上目遣いをする。