その間にSNSに心情を載せる。
 介護や入院になったらどうしよう……同居になったら嫌だ。
 私の世界が侵蝕されてしまう。
 義父母も夫も大人しく私と呉松家の言うことを聞いておけばいいの。
 私が働かないで暮らせるようにしてもらわなきゃ。
 守ってもらわないと、契約不履行になっちゃう。
 私は依田家の嫁になってやったんだから。
「依田澄江さんのご家族の様、どうぞ」
 梶原医師に再び呼ばれる。
 中に入ると澄江がちょこんと丸椅子に座って、顔を曇らせている。検査結果が気になるのだろう。
「……特に大事になるようなことはありませんよ。尻もちついただけです。スーパーで働いてらっしゃるって事ですが、しばらく休んだ方がよろしいでしょう」
 梶原医師は痛み止めのお薬の処方と、今後は転倒防止にマメにストレッチや体操をする様に言った。
 介護や入院にならなかったので、一同安堵する。
「そっかー、私も歳ねー。残念だけどしばらく休むわ」
 澄江は病院を出る時に笑い飛ばした。
 冗談じゃない。あんな人死ぬまで働けよ。私のために。
 ローカルスーパーの家と代々続く呉松家とは格が違うんだから。
「そうしなさい。無理は禁物だ」
「残ってるスタッフには申し訳ないわ。戸塚さんにも負担かけてしまってるし……」