次、病院行くなら、ここじゃなくて呉松家行きつけの所にしてもらおう。というか義理両親全員そうしてもらおう。母に頼んで。元々母の知り合いがやってるとこだし。
 うちを優先してもらえるし、さっさと帰れる。
 1分1秒でも義理両親から離れたい。
依田澄江(よだすみえ)さーん、お入り下さい」
 看護師に呼ばれて、全員で診察室に入る。
 女性の医師だ。白衣の上に紺色のシャツとグレーのチノパンを着ている。梶原(かじわら)と名乗った。
 ハーフアップした黒の髪型で、シャープな顔立ち。薄いピンクの四角いフレームの眼鏡をかけている。
 まあまあ可愛いけど、私のほうが可愛いわ。
 診察室に入るなり女性医師の容姿を品定めする結花。
「本日はどうされましたか?」
 梶原医師は穏やかな口調で尋ねる。
「昼からのタイムセールのチラシを入り口の自動ドアに貼ろうとしたら、強風に煽られて転倒してしまったんです」
 そんなの足腰弱い義母が悪いじゃん。ざまぁみやがれと結花は心の中で罵倒する。
 私いかなくていいじゃん。ほんとめんどくせぇ。
「じゃぁ1回検査しましょ」
 梶原医師は看護師を呼んで、検査内容を伝えて、義母を案内するように指示する。
 私たちは一旦診察室から出て検査結果を待つ。
 待合室の廊下の椅子に、夫と義理の父と離れて座る。