あなたが生まれる前から、お母さんが普久原さんと関係持ってる姿を良輔さんと静華さんが頻繁に見てたんです。彼らからすると親が知らない男性と遊んでて……あなたが生まれた後も、お母さんが時々連れ込んでた。まるで父親ぶってて……良輔さんがお母さんおかしいとお父さんに相談してのことです」
 自分が母と似てるのはそういうことかと腑に落ちる。
「お母さんは狡猾(こうかつ)ですよ。たとえお父さんが違っても、一定期間経つと親と見なされるんですよ。それを分かった上でDNA鑑定を引き伸ばしたーー陰湿な性格はお母様そっくり。それでもって、あなたは同級生の彼氏や先生の恋人と関係もったり、いじめしてたんですよね。世界一可愛いと呉松家のお嬢様というふざけた免罪符を使って逃げてきた。そのつけが今回ってるんですよ――親の因果は子に報いるを正当化して、陽鞠ちゃんは一部から嫌がらせされてるんです。その『ツケ』を支払うのはあなたです」
「じゃぁ、どうすればいいのよ!」
 静かに話す陽貴に机をドンと叩いて威嚇する。
 今ごろ昔のこと引き合いにされても知らないわよ!
 だいたい娘の担任? ああ、赤澤だっけ? あのブッサイクな女。
 娘がいじめられるのはパッとしないからよ。私が同級生なら、とことん追い詰めてる。