結花は西南(せいなん)病院で夫の悠真と合流した。
 義父の弘之(ひろゆき)は整形外科の待合室で、澄江と一緒に待っている。
 タクシーで来た結花の姿を見た悠真に対して、結花は苦い顔をしてるのを、見逃さなかった。
「なによ? その顔、ブッサイクね」
「……今受付終わったから待合室行こう」
 悠真はまたタクシー使ってるじゃん。少しぐらい公共交通機関使ってきてよと言いそうになった。しかも、開口一番不細工だと言われ、言い返す気力が湧かない。
 今は親の容態が心配だから、そっちが優先だ。
 夫婦喧嘩してる場合じゃない。
「なに? お義母さん転んだんだって?」
 結花は矢継ぎ早にいつどこで、何をして、痛みはとかなど待合室に向かう途中、根掘り葉掘り聞く。
 澄江は昼からのタイムセールのチラシを入り口の自動ドアに貼ろうとしたら、強風に煽られて転倒してしまった。
 丁度その姿を、(はる)(だい)店の責任者である戸塚が見つけて、息子である悠真に話が来た。
 念のために病院にいくことになった。
「ふーん、そうなんだ」
 結花はこれ以上どうでも良くなった。
 整形外科の待合室は昼間なのにも関わらず、杖やシルバーカーを押しているお年寄り達、付き添いで来ている人達で席が埋まっている。
 結花は悠真の隣に座って、義理両親とさりげなく距離をとった。