「私に口答えした罰よ。お父さん倒れたのって、あのあたおかなおばさんのせいでしょ? しかも、お母さんよその男と遊んでたんでしょ? ほんとバチ当たってるんじゃない? あんたもあのババアの血が入ってるから。私のお父さんもあの人にいじめられて学校行けなくなったのよ。《《因果応報》》よ」
 キャッキャと高笑いする智景に陽鞠は放心状態になった。
 ちかのお父さんって、うちのお母さんと知り合いなの?! どこで知ったの?! 私全然知らない!
 ここにも母の《《犠牲者》》がいる。
 母の過去で一体どれくらいの被害者がいるんだろう。
 代わりに謝ったって、部長の腹の虫は治らないだろうし、本来なら母がちかのお父さんに謝らないといけない。
 中学に入ってから、依田結花という名前を聞いただけで嫌そうな顔をされるのは、度々あった。
 私は母のことで責任取らないとダメなの?!
 よその男の人と遊んでる様子も何でみんな知ってるの?
 もしかして母のSNS?
「はーい、どうした? すげー辛気臭いよ!」
 顧問の森河の能天気な口調が音楽室に響く。
「あ、依田さんが、足引っ張ったので、《《罰》》与えてただけです」
 同意しろと言わんばかりな圧力をかける智景。