高校時代、一足早く社会人になった良輔と静華が一生懸命働いている姿を見て、働こうと思わなかった。むしろ哀れに思っていた。
 他人にいいようにこき使われてと。
 だから結花は高校時代から《《婚活》》をして、いかに男性に喜ばれるためにならなんたってやると、学業をおろそかにしていた。
 結花が悠真と付き合っていることがバレた時に、退学になるかどうか揉めたが、周子がお金を積んでもみ消しになった。

 ――うちの可愛い結花ちゃんの美しい交際に口出しなさらないで。

 周子の言葉に結花の担任や生徒指導の教師は頭を抱えた。
 父の明博は当然悠真との交際に反対していた。
 学業をおろそかにし、その上未成年なのにも関わらず成人男性との恋愛に現抜かすとは……と厳しく言ったが、周子が婿養子の癖にと封じ込めた。
 結婚した今は明博と悠真の関係はそこそこ良い。
 誠実に結花を大事にしていることを認められたからだ。
 明博は悠真を心配している。結花のわがままや傍若無人ぶりに振り回されていないかとか、健康に影響でてないかなど。
 結花と周子は、明博が悠真に気にかけていることが気に食わない。
 一番大切にすべきなのは結花であると。