「もしかして、娘さんに送ったのは……」
「はい、私です。彼女本人に言うのはどうかと思いまして。あの日、私は彼女とランチしていたんですが、喧嘩してしまって……その最中に彼女の夫が倒れたというお話が来て、私は早く駆けつけるように言いました。それでももたもたしていたので、彼女は。もう、彼女の態度にうんざりして、支払いだけして、頭冷やすために一宮駅近くの図書館に行ったんです。落ち着いた頃に図書館出て、家に帰ろうかという時に、彼女が一宮駅で男性と一緒にいる姿を見ました。思わず写真撮りました」
 陽貴は女性の話に黙って頷く。
「本人に言っても無駄でしょうから、彼女の娘に送りました。まさか、こんな状況で、男性と一緒にいるなんて思わないでしょう」
「まぁ、そうですね。少し見せてください」
 陽貴は目を凝らして女性のスマホを見る。
 スポーツマンな雰囲気だ。髪型も清潔感あるスポーツ刈り。
 背が高いし、体格も良さそうだ。
 何もなければ是非うちの社員で欲しいと思う。
 多分女性スタッフや買い物客のオバチャンに人気でそうだ。
「彼女曰く、マッチングアプリで出会ったそうですよ。やり取りも見せてくれました。この下に写真があります」
 陽貴は女性のスマホをスクロールして、写真を見つける。