当然クラス内が修羅場になったが、彼女はただただ、私悪くないと一点張りだった。
 双方の親にも話がいったが、この状況でも彼女の母親が、家の上下関係を引き合いにして、お金で黙らせるような形になった。

 ――呉松家の名前があるから、これで勘弁して。お金払ったからもういいでしょ?

 ちなみに彼女からの謝罪は未だにない。本人は覚えていないだろう。
「さすが、呉松家ですね。お金で解決しようとするのが」
「そうですね。基本的に彼女のことでトラブルがあれば、出てくるのは彼女の母親ですね。お父さんが来ることもありますが、いつも頭を下げてばかりで、厳しく注意してました。お父さんはいつも疲れ切ったような感じでしたね。諸悪の根源は彼女の母親です。彼女のお父さんは婿養子ということもあって、母親に逆らえない所があるんです」
 女性は断言するようだった。
 確かに彼女にトラブルがあると、母親が出てきて彼女に有利な形におさめようとする。それが彼女に明らかな非がある場合でも。
「確か、彼女にはお兄さんとお姉さんがいらっしゃるそうですが……それはどうでしょう?」