ホームパーティで保護者からいじめられたのも、そりゃ嫌うわと何度もいいそうになったが、結局妻の勢いを恐れて何も止めなかった。自己保身に走った自分に責任がある。
「本当は今までの発言含めて、私と美羽さんにきちんと謝って欲しいところだけど……あの性格じゃ無理よね」
「結花、生まれてこの方一度も頭下げたことない、謝ったことないっていっつも自慢げに言ってるんだな。あぁー! ぜってー無理だろーな!!」
 頭を抱えたくなる。自分の知らない妻の姿を次々と出てきて兄夫婦の口から聞かされる度に。
「確かに結花さんは見た目可愛らしいし、男の人が味方になりたい気持ちは分かる。でも、性別や変えようがないものを見下したり、態度変える人は女性でも男性でも離れる。それを理解出来てないから、被害者モードになるの。結花さんによる被害者は私たちだけでなく、他に沢山いるんだから。確かに悠真さんも被害者だけど、彼女の横暴さを止められなかった加害者でもあるの。悠真さんだけでない、結花さんのご両親も」
 静かに言う兄嫁の内容は正論で心に突き刺す。
 そうだ、自分は『被害者』でもあり、『加害者』なんだ。
 
 もっと早くに妻に真剣に向き合っていれば?
 普段から強く言い返すことができていたら?