とにかく末娘だけとは離れたくない。
 嫌がらせとして、悠真がいない時に依田家へ来てること、悠真を絶対名前で呼ばないこと、彼の実家及び家族に対して見下した言動をするなど、数えきれない。
 これが男女逆だったら……。
「見て。夫の悪口書いたら凄いコメント来た」
 結花は周子に勝ち誇ったような顔でスマホを見せる。

 ――夫が最近帰り遅くてムカつくから、浮気調査いれたw
 ――ここのとこ夫は家族と連絡してるみたい。マザコンかよ!

 結花の呟き用SNSには同情をするコメントが並んでいる。
 かわいそうにとか、浮気だったら慰謝料ゲットよとか、これはマザコンですねとか。

「あらー、味方がいるじゃない。良かったね。やっぱりマザコンね。結花ちゃんを下々の依田家にやったんだから、しっかり私たちのために働いてもらわないと」
 さりげなく物騒なことを言う周子。
 結花も周子も人のために働くのが嫌いなタイプである。根底にはとにかく他人の手で楽したいがある。ある意味似たもの母娘である。
 一方的、良輔と静華は父の明博に似て、真面目に働くタイプ。そのため、呉松家では楽したい結花と周子、真面目にやっていきたい良輔、静華、明博で対立している。
 だからこそ、周子は似た考えの結花をかなり甘やかしている上、贔屓している。