「働いてもらう……?」
 言葉が弱くなる悠真に対して、「ほんとヘタレすぎるわ! とっとと働け!」「働かないと今後おたくの所の会社の支援止めますよ」と結花と周子が詰め寄る。
 悠真は唇をぎゅっと結ぶ。
 陽貴も目を丸くして言葉を出すにも出せず、表情が強ばる。じっと結花と周子の発言を聞くだけ。
「お母さん! 何言ってるの?! お父さん働きすぎなんだよ! お母さんのせいで! ちょっとは休ませて!」
 黙っていた陽鞠が椅子から立上がって、口を出した。両手に握り拳が出来ていた。
「なに言ってるの? お父さんはね! 私を幸せにさせる、楽にさせると約束したんだから、絶対守ってもらわないと! あんたには関係ない話でしょ?! 黙っててくれる?! それに今日あんた学校休んだでしょ?! もうお父さんの顔みたんだから今からでも学校に行きなさい! 内申点響くわよ! あと部活もいくこと! その後は晩ごはんの準備して!」
 陽鞠は椅子にゆっくり座り直し、結花と周子に歪んだ表情を向ける。
「陽鞠ちゃん、ちょっと」
 陽貴は陽鞠と一緒に悠真の病室から一旦席を外して、ナースステーションの廊下へ窓側に寄せて耳打ちした。