出たのが男性教師と分かった瞬間、猫撫で声になって、宿題をうちまで届けてほしい、今度食事しましょと関係ない話してから終わった。
 近くで聞いていた陽貴は周子に「いつもあんな感じなんですか」と聞いた。
 周子から「うちの娘可愛いでしょ」とあさっての方向のコメントが来て、もういいですと話を切った。
「やっぱり来て正解でした」
 今朝陽鞠から「うちの母のことなので、担任嫌いとか言って、欠席の連絡しないと思うけど、おじさんが立ち会ったらやってくれるかも」と言われたから。
 案の定やってなかった。しかも急に声のトーン高くなるから怖い。
 先程の柿本という女性に対しては自分の恥しか気にしないような態度だった。
「ではとりあえず、病院に行って悠真の様子を見に行きましょう。先に家出てください」
 二人がいなくなったのを見計らって、柿本は朝食の片付けを行う。
「柿本さん、ちょっとよろしいですか?」
「は、はぁ……。依田様なにか?」
 いきなり男性に声をかけられ柿本は目を丸くする。
「あなたはここでお手伝いさんみたいなことをされてるんですか?」