机の上に積み重ねた教科書を鞄に詰める。ただひたすら、無心の作業だった。
こうしてたくさんのものを持って帰るのは、家で予習復習をするためだ。
授業で分からなくならないように。小テストで良い点がとれるように。そんな思いで日々怠らず続けている努力の甲斐あってか、大きく失敗はしていない。なんとか授業も理解できている。
ただ、油断は禁物。二年生での学習定着が受験の合否を大きく分けるのだと、塾の先生が口を酸っぱくして言っているから。
「……何してんだよ、こんなとこで」
鞄に視線を落としていると、ふと耳に届いた言葉にびくりと肩が跳ねる。心臓が揺らされたような感覚だった。
そんな、嘘でしょ。
最初は聞き間違いかと思った。けれど、聞き間違えるはずがなかった。
一年間ずっととなりで聞いてきた声を、今さら間違うはずがなかった。
「……星野」
視線を上げると、教室の戸のそばで眉を寄せている星野と目が合った。
彼はまっすぐにわたしを見据えたまま、目を逸らさない。
こうしてたくさんのものを持って帰るのは、家で予習復習をするためだ。
授業で分からなくならないように。小テストで良い点がとれるように。そんな思いで日々怠らず続けている努力の甲斐あってか、大きく失敗はしていない。なんとか授業も理解できている。
ただ、油断は禁物。二年生での学習定着が受験の合否を大きく分けるのだと、塾の先生が口を酸っぱくして言っているから。
「……何してんだよ、こんなとこで」
鞄に視線を落としていると、ふと耳に届いた言葉にびくりと肩が跳ねる。心臓が揺らされたような感覚だった。
そんな、嘘でしょ。
最初は聞き間違いかと思った。けれど、聞き間違えるはずがなかった。
一年間ずっととなりで聞いてきた声を、今さら間違うはずがなかった。
「……星野」
視線を上げると、教室の戸のそばで眉を寄せている星野と目が合った。
彼はまっすぐにわたしを見据えたまま、目を逸らさない。