「わあ……綺麗すぎる」

「絶景だねー!」


目の前に広がる、紅、紅、紅。

その美しさに思わず息を呑む。


「清水寺で正解だったね。すごく修学旅行っぽいもん」


となりで目を輝かせる可奈に頷いて、鮮やかな紅葉を眺める。

清水寺。京の都。

ついにきた修学旅行、なかなか順調な進みで自由行動までくることができた。

後ろをちらりと振り返ると、やけにそわそわした様子の香山くんと、それを呆れ顔で見ている星野。

いったいどうしたんだろう、と不思議に思いながら、嬉しそうに紅葉を見る可奈に視線を戻す。


「綺麗だね、栞ちゃん……っ」

「うん、可愛い」

「……も、紅葉を見てよ栞ちゃんっ」


相変わらず可愛らしく照れた顔をする可奈にクスクスと笑って、紅葉を瞳に映す。


どうしてあんなに綺麗な紅が出せるのだろう。

息をするのも忘れてしまうくらい、ぐっと人を惹きつける溢れんばかりの魅力。


清水寺に来てよかった。

本当に、よかった。


香山くんナイスだよ、と心の中で称賛をおくったその時だった。