「あっ、龍河くんだ!」
川島 龍河くんは私の小さい頃からの幼なじみ
「あ、乃愛瑠!」
私の名前は 矢島 乃愛瑠(やじまのえる)
「ねぇ、この前龍河くんがバイクに乗ってるところ見かけたことあるんだけど…」
私はこの前、一人で夕飯の買い物してると
遠くからブォンという耳をつんざくような大きい音のバイクを見かけた
「えっ、うそ…乃愛瑠この前見たの?」
龍河くんは私の言ったことをオウム返ししてきた
「だから、そう言ってるじゃん…」
私はワザと拗ねたフリをし、そっぽをむく
龍河くんは私の方を向いて顔の前に手を合わせると
「ごめんごめん」と謝ってきた
まぁ、許すけどね?
1週間前までは好きな人と普通に過ごしていた
……んだけど、
あなたは急に転校してしまった
だけど、2週間後入れ替わるようにあなたは転校してきた
「犂坂高校から転校してきました。時定 透悟です。皆さんよろしくね?」
どうしてあなたは私の通う学校に転校してきたの?
でも、私はあなたを覚えていたの
すごいでしょ?あなたも私のこと覚えててくれてるかな?
これは私が暴走族「Black Rose」という集団に出会う前のお話
今日から1年の2学期の始業式なのに、私は未だベッドで横になってスマホを眺めているだけの朝を迎えた
「乃愛瑠!起きてんでしょ?降りて来なさーい」
まだ暑さの残る9月2日
お母さんが下から私を呼ぶ声が聞こえたから
私はまだダルさが残る体を無理やり起こすと
制服に着替えた
慣れ親しんだピンクのブラウスにピンクと赤のチェック柄のリボンを胸元に着け、赤と紺のスカートを2、3度折る
首元にはキラキラと輝くネックレスが
そして、左手首にはピンクのシュシュをみにつける
よし、ギャルの完成だ
私は高校1年の入学式からこのスタイルで登校している
「おっはー」
「おっはーじゃないわよ!またそんな格好して!校則が緩かったからよかったようなものの」
朝から叱られてる私
もうこれが日常茶飯事と言ってもいいくらいだろう?
私は茶色の髪の毛だからまだセーフだった
先輩に目をつけられるわよ?と最初はお母さんも言っていたけれど、逆に先輩と仲良くなれてしまう私のこの性格はなんだろ?
「…あっ、先輩と一緒に登校する約束してるんだった。パンは食べながら行くわ!じゃあ行ってきます」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえたけれど、これもいつも無視してることだ
朝8時半にいつも私は登校する
ちゃんと休まず行ってるんだからいいじゃん
いつからこんなひねくれるようになったのだろうか?
遠い昔の記憶のことだろうか?
私は一人で学校行くか先輩と一緒に行くかの2択
今日は後者だ
「さとみん先輩!おはようございます」
「あはは、今日はパン食べながらきたよ。
あっははー、乃愛瑠ってば可愛いとこあんじゃん」
今日も元気で明るいさとみん先輩と呼ばれている
この先輩の名前は豊原 聡美先輩
入学した後、帰ろうと思ったら声がかけられた
それがさとみん先輩だった
最初はやっぱりこんな格好で来たから怒られるかと思ったけど
「あんた、1年の癖にいい度胸してんねー?よかったら仲良くならない?」って言うのがきっかけかな
その日からいつも一緒にいる
私とさとみん先輩が登校してると後ろからすごい大きい音を鳴らしながら、バイクが走ってきた
いつも集団で学校を仕切ってる人達だ
「うわ、あれBlack Roseだよ」
ブラックローズとは
全国No.1暴走族の名前だ
滅多に暴れてるところ見かけたことないけど、大切な人のためなら一致団結して、助け合っている
「ふーん」
「乃愛瑠〜、ほんと、あーいう集団興味ないよねー」
まぁ、自分が楽しければそれでいいんだけどね
と、私は呑気にそんなことを考えていた
あ、言い忘れていたけれど、
ブラックローズには私の友だち
川島 龍河くんって子がいる
龍河くんは不良って感じなだけで
本当の総長は別の高校にいる
副総長は黒髪で芯がしっかりとしている
羽島 郁哉で、
幹部たちは 阿多地 夏葵くん
川智 那生希くん、富永 慎司くん
ブラックローズって名前を聞くと
みんな怯えるか黄色い声を出すか、慕うかのどれかだ
まぁ、私は興味がないからどれでもないけど
「乃愛瑠ー!」
「あ、龍河くんだ」
「お?彼氏か?彼氏いるなら言えよなー」
さとみん先輩…なにか勘違いしてない?
「えー、そんなんじゃないっすよ〜、勘違いしないでください!俺と乃愛瑠はただの友達なんで、ほら、行くぞ」
龍河くんはバイクを置いてきたあと、門から私を探し出し、校舎の中へと消える
これがいつもの光景
「豊原先輩は相変らずだな」
「まぁ、それがさとみん先輩のいいとこだけどね」
1年4組
それが私のクラス
私は窓際の一番後ろの席にカバンを置く
陽が当たって、気持ちいい
私は何度ここで寝て、怒られただろうか
あはは…居眠り常習犯って呼ばれたり?