教室に行くと乃愛瑠ちゃんの友達ちゃんが寄ってきて
「乃愛瑠ちゃんやっと来た〜。ずっと待ってたんだよー?今日は休みかと思って時定くんに聞いちゃったァ」
俺はさっきと同じく膝に手をついて肩で息をする
「そっか、心配かけてごめんね?先生の仕事手伝ってた」
さっき俺と2人っきりだったよな?
相変わらずクールーというかなんというか
「向井先生ってほんと、乃愛瑠ちゃんのことコキ使うの好きだよね」
あれが初めてでは無いのか
そんなこと思っていたらチャイムがなって、みんな席に座る
「はい、席ついて。出席取るぞ〜」
「雄馬くん、髪の毛ボサボサじゃねぇーか」
俺が転校してきたその日に乃愛瑠ちゃんに抱きつこうとしていた男子が先生に突っ込んでた
みんな、普通に名前呼びなのか
「あー、仕事が5分前くらいに終わって急いできた」
普通に乃愛瑠ちゃんと資料作成してたなんて言わないのか
「今日の連絡事項はー…あ、もう少ししたら今年最後の期末テストがあるからな、いつもみたいに平均点60以上な」
みんなは余裕の表情を浮かべてるが
「は?ちょ、やべーって…おれ、大丈夫かな?」
オレがきてまだ3日だぞ?
そんな急にテストとか言われましても
「しょうがねぇ、あいつらに教えてもらお」(ボソッ)
「えっ?なんか言った?」
「あ、なんでもないよ」
俺が小声で言ったこと、乃愛瑠ちゃんには聞こえてないようだった
「じゃあ、連絡事項は以上だ。1時限目は化学だから移動だな」
まともに授業受けてこなかった俺だけど、唯一得意なのは運動で、
化学なんてまともに受けたことねぇんだけど?
「そういえば学校案内したの1階の途中までだったね。一緒に行こっか?」
「あぁ、そういえばそうだったな」
俺はカバンから教科書とノートと筆記具をとりどした
「化学室はね、東棟クラスの3階なんだよね。だから、チャイムが鳴ったらすぐ行かないと間に合わないんだよね」
「そうなのか」
乃愛瑠ちゃんは何かを聞き出そうとしていたが、やめたらしい
なんだろうな
いつか言ってくれるだろうか
それまで待つか
というか俺のこの作ってるキャラはどこまで続くだろうか?
乃愛瑠ちゃん、俺が『狼鬼』って知ったらどんな反応するかな
と、そんな事考えてたら東棟クラスに着いていたみたい
「はぁ…やっと終わった〜」
「もう俺の頭パンクしそうなんだが、テストの時大丈夫か?」
今現在放課後
「今日も疲れた…移動多かったな」
今日の授業は1時限目に化学、2時限目に音楽、3時限目は技術、4時限目、体育、5時限目、数学、6時限目、国語だったもんね
「でも、体育があったからいいのかな」
「透悟くん…めちゃくちゃ活躍してたね?ファン増えたかもよ?」
私は冗談ぽく言ってみた
教室にいる人はまばらだ
「俺は乃愛瑠ちゃんだけいればそれでいい」
うん、顔近いです
もう少しで唇がくっつきそうです
「わかった。もう言わない。だから離して」
離してもらおうと胸元叩いたけど、なかなか離してくれない
半ばあきらめそうになった時、教室にいる人龍河くんがきた
「もうその辺でいいんじゃね?」
「あ、龍河くん、助かった」
ホッと私は安堵の息をこぼした
「なぁ、友達呼んでたぞ?早く行ってあげた方がいいんじゃね?」
「え?まじか。わかった。ありがとう」
龍河くんがそう声掛けたら透悟くんはカバンを持ってそそくさと教室を出た
「なんか危なさそうだったから、声かけたけど。余計なお世話だったか?」
私はカバンを持ちながら、答える
「むしろ助かったかもしれない」
「まぁ、帰ろうぜ」
龍河くんは、私の手を繋いで歩き出した
今寒い時期にはちょうどいい暖かさだった
今日もいつも通りバイクに乗り込む
「あ、日曜日。予定がなかったら連れていきたいところあるから、起きとけよ?」
私って休みの日はいつも柊希に起こされるんだよね
寝るの大好きだから休みの日は起こされるまで何時間でも寝てるんだよね
「分かったー」
「さぁ、今日もいつも通り帰りますか」
「うん!」
私はいつものように龍河くんの背中に身体を預ける
日曜日、私はすごい光景を見ることになるなんて知らなかった
「──える…の…──おきろ」
「ん〜…もう朝なの〜?」
「あぁ、なんか約束してるって言わなかったけ?」
そういえばそんなこと言った気がする
「ねむ〜い」
柊希がいてくれて良かったかもしれない
「ほらほら、早くしねぇと龍河くるぞ」
私はいつものように手を引かれながら、起き上がる
なんとか1階まで降りて、顔を洗う
今日は日曜日か
だから柊希いたのか
顔を洗ったから目が覚めた
相変わらず冷たいけど
「目が覚めたっ!」
「それは良かった。朝ごはん作ってるからな」
やったね!柊希の手作り〜
「はい、朝ごはん食べながら髪の毛整えてやる」
「やったね」
今日の朝ごはんはベーコンエッグが食パンの上に乗っている軽食だ
飲み物はお茶
「お母さん、また仕事?」
「あぁ、学費とかのこともあるからな、むやみに休めねぇらしい」
あー、そういう事ね
「乃愛瑠、髪の毛伸びたな〜、切るってのはどうだ?」
私の髪の毛はいつの間にか腰まで伸びてたらしい
言われるまで気が付かなかった
なんか長いなとは感じでいたけどね
「えー、来年までこのままがいい」
私はパンにかぶりつきながら柊希に言う
「はは、わかった…。今日出かけるんだろ?可愛くしてやるよ」
「そんなのいいのに」
と、私が言ってるのにも聞かずに柊希は器用な手で髪の毛を結っていく
「ほら、出来たぞ。一部の髪の毛を使っての団子」
「ほんとだ」
ほかの髪の毛は今の時期全部あげると、寒いからちょっとだけ団子になってるのを私は手で触る
「あ、バイクの音」
私が朝ご飯を食べ終わると同時に龍河くんのバイクが家の前で止まった
すぐ玄関のドアを開けて叫ぶのは龍河くんの昔からのくせだからみんな何も言わない
「ちょっと待ってー」
私はパンを食べた手を洗うと、急いで2階に上がって私服に着替える
上着も忘れずに、急いでカバンに必要なものを詰めて1階に降りる